- 日常の一コマ
トピックスー2016年6月
2016.07.01
『パティシエ R氏のスイーツな毎日①』
バスケ命のスタッフSさんがまたご利用者様の心の扉をノックしました。
今回のターゲットはR氏。職業・・・パティシエ。
その企画は題して
「プロ監修のもと、リーズナブルで極上の創作スイーツを皆で作り、堪能しようぅ!」
というもの。まずは第一回の記念すべきメニューは
『パンドジェンヌ』
R氏はこれを作ることによって、錬にあるオーブンの機能を明確にすることができ、
今後の指針になるとのこと。まずは試作作りからスタート
助手を務めるのは看護師Nさん、ご利用者様と看護師の関係が
パティシエと助手の関係となり、まるでNHKドラマ「まれ」を彷彿とさせてくれました
スタッフNさん「こんな感じでいいですかRさん、いや・・・シェフ?」
パティシエR氏「・・・もっとサクサクって感じで」
スタッフNさん「うわぁぁああシェフすごい」
パティシエR氏「・・・・・・」
やがて試作品が完成
パティシエR氏「焼きあがるのに時間がかかるから行程を見直さないと・・・」
スタッフNさん「うわぁぁああおいしそう」
パティシエR氏「・・・・・・・」
師弟関係に若干の不安がよぎるものの
なにはともあれ、本番にむけいざ出陣とあいなりました
さて本番当日
シェフの的確な指示のもと、主婦の皆さま方が
なかなか機会の減った調理作業をそつなくこなされて行きます
そしてシェフがおもむろに頭の中の辞典を開きます
パティシエR氏
「このお菓子は1000年も前からあるものでナポレオン軍が
イタリアのジェノバで籠城戦をしていたとき、食べるものが
アーモンドと米粉くらいしかなくなって、それで作ったお菓子
を食べてしのいだという実話から作られたものなんです」
皆の衆
「へええぇぇえええええええぇぇぇぇ」
ただただ食いしん坊な企画ではなく
自然に行程を意識し、手先を動かす作業をすることで
脳の血流も増し、認知症予防にも効果的であると考えた上での
この企画・・・ただただ出来上がりに舌鼓をうつもよし、
おのおの様々な時間が過ぎていきました
残された男性陣も指先を使い、なにやら積み上げておられます
さあ・・・こちらは型に入れて
さて・・・こちらは積み上げて
なぜか・・・かき混ぜるふりして
それ出来上がり
そして待ちに待った15時のおやつタイム
なんでもそうですけど、出来立てがやっぱりおいしいぃぃとのこと
第一回は無事終了。
R氏の心の中の鏡は今また輝きを放とうとしています。
人は自分自身の持てる力で誰かの役に立ちたいと思うものであり
どんな小さなことであっても、それは社会貢献に繫がると私たちは考えます。
田舎の小さな通所施設で始まった取り組みは
病気と向き合うだけの単調で不安な日々から
役割を再び見いだされ
その準備に奔走する変化にとんだ充実した日々へ
変わろうとしています。
それはどこであってもいい
ここが特別なのでなく、その人を知った上で
その心の扉をさりげなく開いていく。
潜在能力を発揮させるステージは
ご利用者様の数だけ存在します。
今、この瞬間に1000年分の思いを込めて
フェスタはまだまだ続きます
『 ナイキ 』
いつものように来所されたMさん
でもいつもとは何かが違っていました
スタッフ「あああ!!!靴がいつもと違いますね」
Mさん「そうなんです。ナイキです、ナ・イ・キ」
Mさんがスニーカーを履くのは実に3年ぶり。
脳の病変から右の手足が思うように動かすことができなくなって3年。
筋肉の緊張の調整が難しく、ふくらはぎから足の指先まで
靴を履くときは装具がかかせませんでした。そのため、靴と言えば
装具専用のおしゃれとは言えないものを履かざるを得なかったのです。
3年の努力が実を結び、装具が簡素化されることとなり
その試作段階で早速買いに行ってしまったとのことでした。
Mさん「急いで買ったからこれしかなくて・・・でもいいんです」
Mさん「私は病気でほんのちょっとのこともできなくなりました。
でもほんのちょっとのことができると何倍もうれしいのです。」
普通の靴が履ける喜び・・・私たちでは図りし得ない想いがそこにはありました。
Mさんの印象はいつも笑顔。常に周囲への気配りを怠りません。
看護師として、長年地域の皆さまを支えてきました。お昼休みに家に帰宅し、
家族の晩御飯を作ったあと、職場に戻り遅くまで仕事をされておられたとのこと。
また、大のホークスファンであり、福岡ドームの外野席で踊り、二軍の試合も
雁ノ巣球場まで見に行かれておりました。
その生活が一変し、すべてが白紙となりました。
Mさん「ここにくるようになって、ひとつずつ夢がかなってるんです。
一番は福岡ドームに応援に行くこと。二番は普通の靴を履くこと。
次は何にしようかな。アハッ」
スタッフ「次の目標は・・・来年の宮崎のホークス春季キャンプはどうですか?」
Mさん 「いやあぁぁぁ・・・行けますかねぇ。行けるといいなぁ」
いのちが助かったとはいえ、満たされない想いがそこには存在します。
最大限の想像力をもって、その想いを推しはかろうと努力し続ける。
それが私たちの責務であるとも考えます。
これからも、心の声に耳を傾け、ほんのちょっとのできることが
積み重なるお手伝いをすることができたらと考えております。